← ブログ一覧に戻る

なぜ「一番苦労したプロジェクト」を職務経歴書に書くと失敗するのか?

〜感情のサンクコスト(埋没費用)を切り離し、市場価値を最大化する「マクロ抽出戦略」〜


「3年間、毎晩遅くまで残業してやり遂げたあの大型社内プロジェクト。これこそが私の最大の実績だ」

もしあなたが、自身のキャリアの中で「最も苦労したこと」や「最も汗をかいたこと」を中心に職務経歴書(レジュメ)を組み立てようとしているなら、少し立ち止まる必要があります。

残酷な真実をお伝えします。
採用市場は、あなたの「過去の苦労」には1円も払いません。市場が対価を払うのは、自社の「未来の課題解決」に対してのみです。

なぜ、優秀なビジネスパーソンほど、自分で自分のレジュメを書くと失敗に陥りやすいのか。
そこには、行動経済学で説明できる明確な「認知の罠」が存在します。

職務経歴書の「不良債権化」を引き起こす保有効果(Endowment Effect)

自分でレジュメを書く際、多くの人が陥るのが「ミクロの感情的執着」と「マクロの市場価値」の衝突です。

企業という巨大なシステムの中で、あなたは理不尽な社内政治や、複雑なレガシーシステムの調整に多大なエネルギーを割いてきたはずです。行動経済学には「保有効果(Endowment Effect)」という概念があります。人は、自分が多大な労力や時間を投資したものに対して、客観的な市場価値よりも不当に高い価値を感じてしまう生き物です。

その結果何が起きるか。
「あんなに苦労したのだから、この細かい社内調整のプロセスも、あの社内用語も、すべてレジュメに書き込みたい」という衝動に駆られます。

3ページにわたってビッシリと書き込まれた職務経歴書。
書いている本人は「自分はこれだけのことをやってきた」と誇らしく思っているかもしれません。しかし採用担当者は、最初の30秒で読むのをやめています。

これは、自分のキャリアを「局所最適(Local Maximum)」で評価してしまっている状態です。結果として出来上がるのは、市場(外部の採用担当者)にとっては全く意味を持たないマイクロタスクが50個も並んだ、「戦略なき情報過積載」状態のレジュメなのです。

もう一つの罠:感情による「スキルの不当なディスカウント」

逆に、現在の職場環境や上司に対して強い不満を抱いている場合、全く逆のパラドックスが発生します。

「今の会社のやり方は古すぎる。自分の仕事なんて、市場に出たら何の価値もないのではないか」

日々のミクロなストレス(嫌な上司、非効率な会議)に精神をすり減らしていると、マクロな視点で見た自分のスキルの価値を不当に低く見積もってしまいます。これは「感情によるディスカウント」です。実際には外資系企業や成長企業が喉から手が出るほど欲しがる「高度なプロジェクト推進力」を持っているのに、本人は「単なる社内の雑用係」と思い込んでしまい、非常に弱々しいレジュメを書いてしまうのです。

瓶の中にいると、外のラベルは読めない(外部フィルターの必要性)

これらのパラドックスが意味することは一つです。
「人は、自分自身のキャリアを客観的にフィルタリングすることはできない」ということです。

あなたには「自分では気づいていないが、他者(市場)から見れば明らかな強み」が存在します。

  • あなたにとって「息をするように当たり前にできること」にこそ、最高の市場価格がつきます。
  • あなたにとって「血を吐くほど苦労したこと」は、単なる非効率な環境の産物かもしれません。

これを仕分けするには、あなた自身の目線では不可能です。
あなたの過去の苦労や経歴に対して一切の感情的投資(サンクコスト)を持たず、かつ「市場がどう評価するか」という冷徹なロジックを熟知している第三者(外部フィルター)が必要不可欠なのです。

感情論を排除し、キャリアを金融資産として設計する

レジュメ作成は、過去の苦労を並べる「日記」ではありません。
あなたのキャリアという金融資産を、最も高く買ってくれる市場へ提示するための「ピッチブック(投資提案書)」です。

この転換を行うための手法が「マクロ抽出戦略」です。

【マクロ抽出戦略の4ステップ】

  1. ターゲット市場の評価軸を特定する
  2. 経歴を「再現性のあるビジネススキル」単位に分解する
  3. 市場価値の低い情報(感情的なサンクコスト)を冷酷に排除する
  4. 最もレバレッジの効く実績のみを再構成する

自問すべき問いは非常にシンプルです。
「この実績は、私がターゲットとする市場(企業)が抱える課題を解決できるという証明になるか?」

Yesなら残す。Noなら、どれだけあなたが徹夜して頑張ったプロジェクトであっても、冷酷に切り捨てる。この「マクロ抽出戦略」を実行できた者だけが、年収アップという果実を手にします。

よくある質問(FAQ)

「苦労した経験」は面接で評価されると聞きますが、書かない方がいいのですか?
「苦労そのもの」は評価されません。評価されるのは、その困難な状況下で「どのような普遍的なビジネススキル(再現性のある課題解決力)を発揮したか」です。社内特有の泥臭い事情は削ぎ落とし、市場で通用する言語に翻訳して記載する必要があります。
自分のスキルの何が「市場価値が高い」のか、当たり前すぎて分かりません。
だからこそ、外部の客観的なプロファイリングが有効です。トップティアの投資銀行やグローバル企業が「どのようなデータを評価するのか」という逆算の視点から、あなたの経歴を棚卸し(抽出)する必要があります。
今の会社が嫌すぎて、自分の実績に自信が持てません。
現在の環境に対する「感情」と、あなたが獲得してきた「スキルの市場価格」は完全に切り離してください。環境が悪いからといって、あなたの能力の適正価格まで下げる必要はありません。

キャリアポートフォリオ戦略:あなたの市場価値を再抽出する

私の提供する「戦略的キャリアデザイン・セッション」では、あなたが抱え込んでいるキャリアの膨大なデータから、感情やサンクコストを切り離し、純粋な「マクロ市場価値」だけを抽出します。

  • 過去の苦労に対する「感情のデトックス」
  • 不要な情報の冷徹なフィルタリング
  • 採用担当者に刺さる「グローバル最適化」されたピッチ構築

「色々書いたが、要点がボヤけている気がする」
それはあなたの文章力不足ではなく、システムのエラーです。

市場は努力を評価しません。
市場は「再現性」を評価します。
そして再現性は、抽出しなければ伝わりません。

5年後に後悔しないために。
あなたのキャリアを“勝てる構造”へ再抽出・再設計しませんか。

▼あなたの市場価値を最大化するキャリア戦略はこちら

セッションの詳細・お申し込み

セルダル・バシャラ
e-Rirekisho.com 代表
Career Strategy Audit 提供者