こんにちは。 e-Rirekisho.com のセルダル・バシャラです。いつも当コラムを読んで頂き、ありがとうございます。

今日は、私のゴールドマン･サックス時代の社長山�ｱ養世氏が、著書の「勝つ力」（ダイヤモンド社）で教えているある鉄則についてお話したいと思います。

山�ｱ養世氏はゴールドマン･サックスの資産運用ビジネスを日本でほぼゼロから立ち上げた存在で、非常に短期間でトップ会社に躍進させ、ゴールドマン･サックスの中でもかなり早くパートナーに就任できました。「勝つ力」は山�ｱ氏が成功の鉄則をまとめたとても貴重な書籍であり、外資系への転職だけではなく、転職後も必ず成功したい方には絶対にお勧めの一冊です。

去年彼と一緒にトルコを旅し、ついこの間もお会いしてきましたが、彼の人生の中にその鉄則は本当に生きている、ということを見てきました。皆様にも、理論上の話ではなく、プラクティカルに実現できるノウハウとして活用して頂ければと思います。私のクライアントの中にも「勝つ力」のノウハウで成功できている方が大勢いらっしゃいます。

今日ご紹介したいのは、「悲観的に準備して、楽観的に行動する」という鉄則です。

転職だけではなく、キャリアや人生の多くの面で通用するルールですが、転職に関する活用方法についてお話できればと思います。

「悲観的に準備して、楽観的に行動する」ことは才能を必要とせず誰にでもできることです。そうすることによって、ごく普通の人でも天才に見えてしまいます。

では、転職において悲観的に準備することはどのようなことでしょうか ?

「勝つ力」に出てくる一つの方法は、「考えうるあらゆることに備えておく」
ということです。

貴方の転職の実現のために、どのようなことが考えられるか ?

− 絶対好きで、自分の心と愛を込めてできる仕事は何であるか

− それを実現できる会社と職場はどのようなところであるか

− その会社にどのような貢献ができるか

− どのような人たちと一緒に働きたいか

− どのような人たちが貴方の本当の力を認め、本来のポテンシャルを評価してくれるか

− どのような環境にいれば常に自己成長できるか

− どこで頑張れば、結果を出し、その結果に見合った報酬がもらえるか

− どのような仕事、どのような会社で、家庭と仕事の両立ができるか

− 子供や家族に誇りを持って言える仕事はどれであるか

− どのような仕事だと老後の安定した生活も確保できるか

このようなたくさんのことが転職プロセスにおいて考えるべきことです。そうでないと、転職に失敗し、後悔してしまうケースも多くあります。

当社で行っている「外資系転職相談」に来られる方に、転職をしてわずか数ヶ月しか経っていない方もいます。予想していた転職と現実は違うからです。あらゆる側面を考えていないで行う転職には次のような危険があります :

1) 一部の例外を除き、前の会社に戻れなくなってしまいます。

2) 転職回数が増えれば増えるほど、経歴上マイナスに見えてしまいます。

3) パニックで転職活動を行うと、とにかくプレッシャーから開放されたいが為に安い給料でもオファーをアクセプトしてしまい、サラリーアップも期待できません。

4) 途中で転職してしまうと、その年のボーナスが全額もらえなくなってしまいます。場合によって何百万の差も出てしまいます。

5) 家族に心配と迷惑をかけてしまいます。特に、まだ結婚していない場合、転職という概念になれていないご両親が非常に心配し、思わずプレッシャーをかけてしまいます。

6) 勤続年数が短いと、まわりに対して「安定していない」というイメージを与えてしまい、住宅ローンを借りたり、部屋を借りたり、クレジットカード等に申し込む際に、支障を来たしてしまう場合があります。

7) 最も危険なのは、自信と自尊心を失ってしまい、将来に向けて期待を持てず、明るい毎日を送れなくなってしまうことです。

そのような状況に落ちないために「悲観的に準備すること」をお勧めします。

悲観的な準備にはかなりの時間と労力がかかってしまいます。しかし、人生は短く且つ一つしかないので、それぐらいの投資はした方がよいのではないでしょうか ?

コーチングに来られていたお客様で、最近外資系に転職出来た方から頂いた体験談に、下記のようなコメントがあります :

「最初は自分で考えなくてはいけないことが多く、苦しいことも多々ありましたが、振り返ってみると、コーチングとその面接対策にて自分のキャリアを深く追求したおかげで、実際の面接での質問にあわてることなく的確に答えることができ、逆に、ミスマッチの企業などを自分で判断し排除することができたと思います。
私は、外資系特有の採用フリーズに一社目の応募のときにあいましたが、バシャラさんのアドバイスのおかげで長い間落ち込むことなくすぐに次の目標に進むことができ、希望していた外資系消費財企業に一次面接から内定まで 2 週間という早さの上、200 万円アップの年収で内定をもらうことができました。」

大変ご親切な 30 代の女性の方で、辛いときでも本当によく努力してくれました。本人の努力がなければ、勿論、いくらコーチングを受けても何も実現しません。

ミスマッチの企業を判断出来るようになるのも、やはり「悲観的な準備」の効果だと思います。その実感がないまま、活動をしたら、先ほど述べたリスクを負わざるを得ません。いつも「早く行動すること」の大切さを申し上げておりますが、まだ準備ができていない場合、すぐ応募することではなく、「準備を始める」行動を先に取りましょう。この準備段階を踏んでいるからこそ、どんどん「楽観的な行動」を取れるのではないでしょうか ?

余談ですが、実は先程の方にもう一つの幸せなことがありました。このような転職の準備をしている間に、どうやら新しい彼に出会い、プロポーズされ、相手のご家族まで紹介されたという事です。両方の幸せを同時に得たお話を聞くと、こちらも涙が出てしまいます。

いつどんな相手に出会うか分からないのと同じ様に、いつどんな会社に出会うかもわかりません。その時のために、まず心の準備が必要ですので、今すぐ準備を始めましょう。きっと素晴らしい未来があなたを待っています !